「ゆるまない」を追求するカンパニー

ウェジコナット誕生ストーリー

Season1会社員時代にキャッチしたニーズを基に、
「ウェジコナット」を発明

長期間にわたって十分な締め付けを維持できるファスナー(ボルト、ナット、座金)システムを開発したウェジコの代表取締役・中上輝夫氏は、元はネジディーラーのセールスエンジニア。建設部材メーカーに自社製品を営業するなかで、簡単に作業ができ、長期間にわたって締め付けを維持できるファスナーに対するニーズの大きさを感じ取っていた。 
「作業効率がよく、確実に締結できるネジがあれば普及するだろうなと思っていました。そこで退職後、職業訓練校で勉強しながら、自分で作ってみることにしたんです」 この挑戦は思いのほか順調に進み、座金の形状に工夫を加えることで締結力を維持できるファスナーシステム「ウェジコナット」を発明。特許も取得した。
「実用化を!」と意気込んだ中上氏は会社を興した。

Season2起業当初のオフィスは自宅製造、
検査の設備はセンターを利用

会社としての体裁は整えたものの、オフィスは自宅。メーカ-でありながら主要な製造設備を持っていなかった。そこで、会社員時代から製品の改良や不具合の相談で利用していた、滋賀県工業技術総合センター(以下センター)を利用することにした。
「旋盤やフライス盤など、ものづくりのための設備を使わせてもらい、試作を重ねました。試作品は振動試験機や画像解析装置にかけ、性能をチェック。設備利用というセンターの制度を、フル活用しながら開発を進めたんです」
 ウェジコナットの有望性に注目したセンター側も、全面的に中上氏をサポート。大学や企業との共同研究のコーディネート、特許申請の支援などを行ってくれた。「商品と会社をPRするチラシもアドバイスしてもらいました。センターの協力があって、会社としての土台ができましたね」

Season3商品力の決め手は
評価試験の結果センターの客観的データが裏づけに

どんなに画期的な発明でも、「便利な商品ができました」と発明者が叫ぶだけでは利用者は納得しない。そこには、客観的な検証を通し、既存品との違いを証明することが不可欠だ。ましてネジのように建物の安全性を左右する製品では、その必要性が大きい。
そこで中上氏は、品質を理論的に裏付ける試験をセンターに依頼した。
この要望に対し、センターは「有限要素法による応力解析」を実施。ネジを締め付けたときにどの部分に力がかかり、「緩まない」という性能とどのように関係しているのかを証明した。また、振動試験にはアメリカ航空宇宙局の規格に準じた試験を採用。厳しいレベルの試験をクリアすることにより、品質の高さに納得性を持たせた。

Season4販路開拓を後押ししてくれた
インキュベーション施設への入居

さらに中上氏は、研究開発を加速し、―刻も早い顧客の開拓を実現するため、センター内のインキュベーション施設入居を決めた。
その成果は、販路の開拓となって現れた。 「センターヘ見込み顧客を招き、公開試験を行ったんです。するとその2ヵ月後には参加企業から注文が。自宅にオフィスを構えたままでは、こうはいかなかったでしょうね」 同当社のような小規模製造業者は、設備面で顧客から不安視されることがある。
それがセンターという先端の設備を見てもらうことにより、安心感を与えることができたのだ。

Season5大手企業との協力関係により
ウェジコナットはさらなる進化を

ウェジコナットは現在、大手メーカーが施工・管理する立体駐車場(ウェジコナットパーキング向け)で採用され、また、西日本高速道路エンジニアリング関西株式会社の特許で「NEWロックナット」として市場に販売されています。安定供給とさらなる販路拡大に向けて「今後がビジネスとしての正念場」と言うが、建築物への信頼性が揺らぐなか、建築構造物向け、および小径サイズの開発で精密機器分野等、中上氏の士気は高まる一方だ。(了)